瑠哀 ~フランスにて~
『そうですか。―――一つ、お聞きしたいのですが?』

「なんでしょう」

『彼女が暴行された形跡は、ありましたか?』


 二人の刑事は目線を交わし、瑠哀を見る。


「――その形跡は、あると思われます」


 そうですか、と瑠哀は静かに返答した。


 刑事達は立ち上がり、朔也と瑠哀に礼を言う。


「ありがとうございました。

また、何か判りましたら、お知らせします」


 朔也が歩き出した二人を呼びとめた。


「ケインの捜索は、どのようになるんです?」

「彼を容疑者として指名手配をします。

マルセイユ近郊だけでなく、国を超える可能性もありますので、

イタリアにも手配書を送るつもりです」

「そうですか。一刻も早く、

彼を捕まえてください」

「尽力します。

今度、彼が連絡してきた場合、必ず我々に知らせてください」


 朔也は、わかった、と頷いた。
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