瑠哀 ~フランスにて~
『あの娘、私にそっくり。

顔とか背じゃなくて、髪の長いところがそっくり。

後ろを向いていたら、きっと間違える。

巻き込まれるはずじゃなかったのに、それで…捕まったんだと思う。

出入り禁止になったら、必ず逆襲してくると判っていたのに、

全く関係のない女の子を巻き込んでしまった。

彼女の命を奪ってしまった。

私が外に出ていれば、良かった…………』


 瑠哀の瞳から、ツーッと、一筋の涙が流れ落ちた。


 瑠哀はその大きな瞳を上げたまま、静かに話しを続ける。


『ショックだったのは、死体を見たからじゃなくて、

あの娘が…私の身代わりになってしまったこと。

あんな男に乱暴された、こと。

だから、聞いたの。彼女にその跡があるかどうか。

―――卑劣で、陰険で、最低な男。

電話で、ケラケラとせせら笑っていたわ。

彼女の泣き叫ぶ声を聞いた。ケインが殴って乱暴する音も聞いた。

カセットテープに取っていたのね。

有り難いことに、全て…私に聞かせてくれた―――』



『ルイ、もうやめるんだっ!

もう、いい―――。

……済まなかった。

もういいんだよ、ルイ――――』
< 198 / 350 >

この作品をシェア

pagetop