瑠哀 ~フランスにて~
 瑠哀は二人の様子があまりにも不自然なので、ある確信が頭に浮かんでいた。

 この二人のことだから、自分を心配させまいと、きっとそれを隠しているのだろう。


 本当に、優しい二人だ。いつも、瑠哀を気遣ってくれる。


 この二人から、無理矢理聞き出すことなどできない。

 それを聞いた瑠哀を見て、また彼らが心配するであろうことは判り切っている。


 瑠哀を思ってくれる優しさが感じられて、涙が出そうだった。



「ありがとう、二人とも。

二人のおかげで、すごいよく眠れたの。

本当に、ありがとう。

こんなに安心して寝たのは、初めてだったわ。

本当に、ありがとう」


 瑠哀は心からの感謝と、そして、彼らにあげられる自分の優しい気持ちを微笑みに込めて、とても綺麗な微笑みをみせた。


「ユージン達は、大丈夫なの?」

「彼は、大丈夫だよ」


「よかった。じゃあ、目を覚ますのに、ちょっと顔を洗ってくるわ」


 瑠哀は朔也に笑いかけ、立ち上がってバスルームに向かい出した。

 ―――が、急な目眩と吐き気に襲われて、思わず、パッと、口を押さえ込んだ。


「ルイ―――っ!!」


 朔也が驚いて、倒れかけた瑠哀をバッと抱きかかえた。


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