瑠哀 ~フランスにて~
 パッ―――と、瑠哀が突然立ち上がった。


 すぐに、走り出して部屋の扉を開け放ち、飛び出して行く。


「ルイ――!」


 パッと、朔也もピエールも反射的に立ち上がり、その瑠哀を追いかける。


 廊下を走り抜ける速さで瑠哀が階下に走り去って行った。

 ダッと、勢いをつけた朔也が瑠哀のすぐ後を追って行く。


「ルイ、ダメだっ―――」


 呼び止める朔也を無視して、瑠哀は目的の部屋まで走り込んで行き、

バッと、勢い良くその扉を開け放った。


「ルイ―――」


 寸時の差で、朔也が瑠哀を追ってその部屋の中に走り込んで行く。

 ―――行って、バッと、その足が止まった。


『これは――!』

『どういうこと―――!?』


 一歩、部屋に入った二人の前では、

あろうことかそこでガードをしていた警備の者だけではなく、

セシルも、そしてもマーグリスも倒れたいたのだ。

 マーグリスは自分のベッドで、その傍らでセシルがベッドの端に顔を伏せて。

 一見して眠っているように見えるが、ガードだけが不自然な恰好で床に転がっていた。


『サクヤ、ユージンがいないわっ――!』

『判っている―――』
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