瑠哀 ~フランスにて~
Part 9
連れ去られたどこかの場所に着くと、リチャードは乱暴に瑠哀を部屋の中に突き飛ばした。
「さっさと動けっ」
「…んっ…!」
ガチャ、ガチャ、と焦りも露に、かなりの動揺を見せ始めているリチャードが部屋の鍵をしっかりと閉め直す。
マーグリスの屋敷から一時間ほど離れたくらいの場所ではないだろうか。
車を飛ばし、夜が更けて来た暗い道路を走り抜けて来た。
ユージンを連れ去る手引きをしたあのメイドは、屋敷の側に隠していた車に乗り込む際、
リチャードが無情なほど冷酷に置き去りにした。
瑠哀の腕にしっかりと縄と縛り付けて、ユージンの誘拐には失敗したが、
それでもリチャードと共に逃亡できると、その安堵と嬉々とした顔を浮べていた。
リチャードに何を言い含められたのかは知らないが、誘拐の手助けをしながら、
あのメイドに罪の意識など全く感じられなかった。
むしろ、リチャードの手伝いができる喜びに興奮しているようにさえ見えたのだ。
盲目に、馬鹿げたことに首を突っ込んで、その結末さえも頭に入っていなかったようだった。
バンッ、と瑠哀が乗り込んだ側の車のドアを叩き閉め、
次に女が後ろに乗り込んでこようとした刹那、リチャードが女に向かって銃を突きつけた。
「お前は邪魔だ」
「え?」
「邪魔だ、と言っている。
あの子供さえ手に入らず、用無しとなったお前など、ただ邪魔なだけだ」
「さっさと動けっ」
「…んっ…!」
ガチャ、ガチャ、と焦りも露に、かなりの動揺を見せ始めているリチャードが部屋の鍵をしっかりと閉め直す。
マーグリスの屋敷から一時間ほど離れたくらいの場所ではないだろうか。
車を飛ばし、夜が更けて来た暗い道路を走り抜けて来た。
ユージンを連れ去る手引きをしたあのメイドは、屋敷の側に隠していた車に乗り込む際、
リチャードが無情なほど冷酷に置き去りにした。
瑠哀の腕にしっかりと縄と縛り付けて、ユージンの誘拐には失敗したが、
それでもリチャードと共に逃亡できると、その安堵と嬉々とした顔を浮べていた。
リチャードに何を言い含められたのかは知らないが、誘拐の手助けをしながら、
あのメイドに罪の意識など全く感じられなかった。
むしろ、リチャードの手伝いができる喜びに興奮しているようにさえ見えたのだ。
盲目に、馬鹿げたことに首を突っ込んで、その結末さえも頭に入っていなかったようだった。
バンッ、と瑠哀が乗り込んだ側の車のドアを叩き閉め、
次に女が後ろに乗り込んでこようとした刹那、リチャードが女に向かって銃を突きつけた。
「お前は邪魔だ」
「え?」
「邪魔だ、と言っている。
あの子供さえ手に入らず、用無しとなったお前など、ただ邪魔なだけだ」