瑠哀 ~フランスにて~
前方のヘリコプターがリチャードの怒りを上手いように煽り立てているようだった。
その間に後方のヘリコプターが、更に、ボートの方に寄って来る。
バラバラ、バラバラ!
轟音と共にものすごい強風が後ろからボートを襲った。
その勢いに、瑠哀もサイドにしがみついたままヘリコプターを正視することができない。
「きっさま―――!ふざけてるっ!」
横でリチャードの狂ったような叫び声が響いた。
ハッとして、咄嗟にリチャードを見上げた瑠哀の前で、
その腕が真っ直ぐ後ろに伸ばされている光景が飛び込んで来た。
「ダメっ―――!!」
波に煽られて、真っ直ぐ立っていることも難しいであろうそのボートで、
瑠哀がバッと立ち上がった。
揺らされているその反動のままリチャードにぶつかり、ドタッ、と二人が後ろに転がって行った。
「――うっ…!」
「あっ……!」
その隙を逃さず、後方のヘリコプターがボートに覆い被さる――というほど間近に下りて来た。
トン、と激しく揺れているボートに朔也が飛び降りた。
ボッ、ドッドッ、と舵手のいなくなったボートが急速にその速度を落として行き、
波に揺られるままにその沖でゆらゆらと流され出す。
その間に後方のヘリコプターが、更に、ボートの方に寄って来る。
バラバラ、バラバラ!
轟音と共にものすごい強風が後ろからボートを襲った。
その勢いに、瑠哀もサイドにしがみついたままヘリコプターを正視することができない。
「きっさま―――!ふざけてるっ!」
横でリチャードの狂ったような叫び声が響いた。
ハッとして、咄嗟にリチャードを見上げた瑠哀の前で、
その腕が真っ直ぐ後ろに伸ばされている光景が飛び込んで来た。
「ダメっ―――!!」
波に煽られて、真っ直ぐ立っていることも難しいであろうそのボートで、
瑠哀がバッと立ち上がった。
揺らされているその反動のままリチャードにぶつかり、ドタッ、と二人が後ろに転がって行った。
「――うっ…!」
「あっ……!」
その隙を逃さず、後方のヘリコプターがボートに覆い被さる――というほど間近に下りて来た。
トン、と激しく揺れているボートに朔也が飛び降りた。
ボッ、ドッドッ、と舵手のいなくなったボートが急速にその速度を落として行き、
波に揺られるままにその沖でゆらゆらと流され出す。