瑠哀 ~フランスにて~
『大丈夫だよ、ルイ。

俺が必ず君を救けるから』

『ダメ…、サクヤ』

『心配しないで。大丈夫だよ、ルイ』


 大丈夫だよ、とどこまでも安心させる朔也の言葉。

 その言葉通り、確信に満ちた態度。

 瑠哀に向けられたその視線に、その優しい微笑みに、瑠哀への気遣いが溢れていた。



『ダメよ、ダメ…。サクヤ、ダメ…』

『大丈夫だよ、ルイ。その心配もいらない。

大丈夫だ。俺を信じて』

『でも、ダメ、サクヤ。お願い…』

『大丈夫。俺を信じて』

「感動の再開は終わったのか?

いつまでもくらだないお喋りはするなっ」

「彼女と俺を交換に、人質に取ればいい。

彼女を解放してくれ」



 朔也が変わらぬ態度でリチャードに向き直る。


 リチャードは口を歪め、引っ張っている瑠哀の縛られた腕を更に強く引っ張り上げた。


 カチッ、と凍り付くような冷たい金属音が鳴った。


「お前を人質に取るなら、この女は必要なくなる。

余計な荷物は邪魔なだけだ」

「やめろっ」

「誰に指図している」

「俺を人質に取ればいい。彼女を解放してくれ」


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