瑠哀 ~フランスにて~
そう優しく繰り返すピエールから少し離れ、瑠哀が真っ直ぐ顔を上げピエールを見詰め返す。
「ごめんなさい、ピエール。
本当に……ごめん、なさい――」
泣かないその瞳が、それ以上に泣いているような感じだった。
漆黒の深い瞳がどこまでも辛く揺れている。
いっそのこと、苦しい分だけ泣いてしまえば良いものを、
その泣かない泣いている大きな瞳が哀しみで吸い込まれそうだった。
その瞳を見下ろしながら、傷口とは反対の額から、
ピエールがスーッと撫でるようにその髪を梳いて行く。
「ごめんなさい、ピエール…」
「もういいよ、ルイ。
もう、誤らなくていい。
もう終わったんだ。
だから、今日こそは、君もしっかりと休むんだ。
サーヤの付き添いをする、などとそんなことを口にするなら、
君にも鎮静剤を打ち込ませるよ」
しっかりと叱っているような口調であるのに、
ピエールのその瞳の色はとても暖かなものだった。
瑠哀の口が少しだ動き、ほんの小さな微笑みが浮かんだ。
―――その顔が、哀しげに歪んでいく。
「ごめんなさい、ピエール。
本当に……ごめん、なさい――」
泣かないその瞳が、それ以上に泣いているような感じだった。
漆黒の深い瞳がどこまでも辛く揺れている。
いっそのこと、苦しい分だけ泣いてしまえば良いものを、
その泣かない泣いている大きな瞳が哀しみで吸い込まれそうだった。
その瞳を見下ろしながら、傷口とは反対の額から、
ピエールがスーッと撫でるようにその髪を梳いて行く。
「ごめんなさい、ピエール…」
「もういいよ、ルイ。
もう、誤らなくていい。
もう終わったんだ。
だから、今日こそは、君もしっかりと休むんだ。
サーヤの付き添いをする、などとそんなことを口にするなら、
君にも鎮静剤を打ち込ませるよ」
しっかりと叱っているような口調であるのに、
ピエールのその瞳の色はとても暖かなものだった。
瑠哀の口が少しだ動き、ほんの小さな微笑みが浮かんだ。
―――その顔が、哀しげに歪んでいく。