瑠哀 ~フランスにて~
 屋敷の入り口まで、マーグリス達が朔也とピエールを見送りに来ていたが、

今の朔也にはその三人に気を遣うこともできなかった。



 あまりに突然に、今まで自分がしっかりと感じていた暖かさが消え去り、

スッポリとそこには空虚さだけが残された。




 瑠哀が去って、もう一度、

あの瑠哀の優しい微笑みを見ることも叶わず、

その姿を認めることもできず、そして、何よりも、

朔也があれほどに恋焦がれてしまった彼女は

―――実は、全く何も知らなかった観光客、であったことを思い出してしまったのだから――――


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