瑠哀 ~フランスにて~

-3-

 ピエールの別荘に戻ると、ベランダに朔也が出ていて、瑠哀の姿を見て目を丸くした。


『一人で散歩に出た、って聞いたけど、遅いんで心配してたんだ。

―――どうしたの?』

『ごめんなさい。

プライベートビーチだって聞いたから、一人でも大丈夫だと思ったの。

ちょっと…、海を見たら我慢できなくなって…』

『それは……。

―――今度は、水着を着てからにしたほうがいいと思うよ…』


 瑠哀は困ったように笑った。


『着替えてくるわ』



 部屋に戻り、シャワーを浴びた。

 長袖のシャツに手を通す時、腕に視線を落として、溜め息をつく。



 どうして、こう、次から次へと何かが起こるのだろうか。

 きっと、ユージンに出会ってしまったから、



「もう大丈夫だと思う―――」


と言った言葉は、当てにはならないだろう………。



 階段をおりて下に行ったら、すでにユージンと母親が来ていた。

 あの送った後すぐに、瑠哀を追ってきたくらいの速さだ。



「ルーイ、ちゃんと、ママンをつれてきたよ。えらいでしょう?」



 ユージンは嬉しそうに瑠哀に駆け寄って、腰に抱きついた。

 その頭を軽く撫でながら、母親を見る。

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