瑠哀 ~フランスにて~
「ユージン、良く全部できたのね。

すごいわ。このお家、とても広いでしょう。

お家の中を探検したくない?

ここにいる、お兄ちゃんたちが案内をしてくれるわよ。

どう?」

「ほんとう?ぼく、たんけん、だーいすきっ」

「ルイ、僕は子供は嫌いだ。僕は遠慮するよ」


 ピエールの冷たい言葉に、ユージンは身をすくめて瑠哀を見上げた。


 瑠哀は優しくユージンの髪を撫で、ピエールに向く。


「お願い、ピエール」

「俺が案内しよう」


 朔也が、おいで、というふに手を差し伸べる。


 瑠哀はその背中を優しく押しながら、ピエールにもう一度言う。


「サクヤとあなたの二人で案内してあげて。お願い」


 ピエールは片眉を上げる。


 お願い、と瑠哀はもう一度繰り返すので、ピエールは渋々頷いた。


 朔也に手を引かれながら、ユージンは、バイバイ、と手を振ってみせる。


 瑠哀はそれに答えながら、手を振った。
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