瑠哀 ~フランスにて~
Part 4
 ここ二~三日は何も起こらなく、やはり、彼らは諦めたのだろうか。

 ユージンは、あれから毎日やって来て、瑠哀達と遊んでいる。



 朔也の言った通り、ピエールの別荘は全て揃っていて、退屈することはなかった。

 ビーチの他に、プール、テニスコート、ビリヤード、その他色々と揃っていた。



 ピエールはほとんど外に出ないから、ユージンが帰ってから瑠哀と時間を過ごす、と言う形になっていた。


 ユージンの母親のセシルが瑠哀と昼間お茶をしている時、彼女が静かに話し出したことがある。


「ルイ…、ずっとあなたが言っていたことを考えていました。

ユージンをお義父さまに会わせることに戸惑いがない、と言えば嘘になりますが、

彼にとってユージンはたった一人の血の繋がった孫。

彼にだって、ユージンに会う権利はあります…」

「では、彼に連絡を取るのですか?」

「もう、連絡しました。

あなたに言われた後、迷いながら…、

お義父さまに私たちがここにきていることを知らせました。

彼は、私がここにいることを快く思ってなかったようですが……」


 セシルは悲しそうにうつむいた。



 ユージン達が泊まっている別荘は、セシルの亡くなった夫が所有していた別荘だと言う。

 その夫は、隣町の大地主で、いくつもの大きな工場を保有しているマーグリス一族の会長の息子だったらしい。



 よくある話で、彼とセシルが恋仲になり結婚を決めたが、彼の父マーグリス氏が猛反対した。

 マーグリス氏は彼を手放そうとしなかったので、彼は家を出て一族と断然状態なった。



 そして、ユージンがセシルのお腹にいる時、彼は交通事故で亡くなってしまった。

 ユージンは父親の顔を見ることなく育ってきたが、半年ほど前から、セシル達の周りを聞いて回っている人物が現れた、と言う。
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