瑠哀　～フランスにて～
「―――今の音、なに…？」



　瑠哀は、近くで、ドン、という音を耳にして、顔を上げ辺りを見渡した。

　それに続いて、ヒュー、ヒュー、となにかが飛ぶ音がして、向こうに目を向けると、明るい人家の上を何かが飛んでいる。



「―――花火…!?」

「なぜ、こんな時間に？」

「ルイ、あれは、ユージンの家の方じゃないのか？」



　瑠哀はハッとして朔也を振り返る。

　朔也は頷いて、瑠哀の腕を取り走り出した。



「ピエール、警察を呼んでくれ」



　朔也は走り出しながらピエールに向かって叫んだ。

　ピエールが頷いたのかは見えなかったが、瑠哀はかまわず砂浜を走った。



　ユージンの家の近くに来た瑠哀と朔也は、思わず足を止める。


　家庭用の打ち上げ花火だけではなく、業務用のあの打ち上げ花火まで上がったのだ。


　ヒューン、と入り乱れて飛ばされた花火が民家の屋根に落ちたり、近くの木に落ちて小さな炎を作る。



　この騒ぎに目を覚ました住民が起きてきて、あちこちに移って行く日を消化し始め出した。

　人も花火も入り混じって、ひどい混乱をつくっていた。
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