瑠哀　～フランスにて～
『―――ルイ、君はここにいて。様子を見てくる』


　朔也はその喧騒の中を駆けて行った。


『一体、どこから―――』



　と言いかけた時、ドン!!―――という新たな轟音が響き渡り、瑠哀は一瞬身をすくめたる。

　今度のは、業務用の花火が爆発したようだった。



　ドン、ドン、と立て続けに花火が放出され、この静かなビーチが昼並の明るさに包まれる。



　朔也はここにいるように言ったが、瑠哀は脇の小道を見つけて、そこを走り出す。

　その小道を抜け車道にたどり着くと、パアッと、左手が光ったのが見えた。



　家に日が飛び移って燃え始めたのだ！


　周囲の人間がそれを消しに行くのが目の端に移ったが、瑠哀の視線はそれとは反対の方向に捕らわれていた。


「―――ユージンっ!!」


　声を限りにユージンの名を呼びながら、ユージンを連れ去って行く人間の後を追いかけて行った。
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