瑠哀 ~フランスにて~
「ユージン、そこにいるのか?―――ルイ?」


 朔也がそこまで来ていた。


『サクヤ、セシルは?』

『彼女は大丈夫だ。

ピエールに言って、ガードを数人寄越させた。

ユージンがいなくなって、探してたんだ。

―――君は、俺の言うことを聞かなかったね』

『ユージンを見つけたことに免じて、許して。

―――サクヤ、まずいことになったわ』

『あいつらか?』


 瑠哀は頷く。


 朔也は手を出しながら、


『ここを離れよう。俺がユージンを運ぶから。

―――「ユージン?」』


 ユージンは瑠哀にしがみついたまま離れようとはしなかった。


『私が運ぶわ。あっちの様子は?』

『パニックだ。あちこちに飛び散った火の粉で、数件の家に被害が出ている。

いまだに、花火の爆発が収まらない。

火薬を隠していたのか、次から次へと爆発していった』

『そう…。―――これ、あいつらの仕業なのかしら』

『さあな。でも、そうだとしたら、派手にやってくれる』
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