瑠哀 ~フランスにて~
「ここらで有名な、マーグリス氏をご存知です?」
「マーグリス?―――ええ、知っていますよ。
彼もこのパーティーに出席していますね」
「お会いしたのですか?」
「いいえ。辺りにいたのを見かけただけです。
彼が、どうかしましたか?」
「いいえ」
「私は、彼と何度かお会いしたことがありますよ。
よろしければ、紹介いたしますが?」
「いいえ、結構です」
はっきり、にべもなく断って、男の入る隙がない。
これ以上、この男と関わっているととくなことになりそうもなかった。
大した情報ではないが、彼がいるのは確かだと判ったから、それで良かった。
「彼は、あのバンド付近にいましたよ。
あの人のたくさん集まっている。
小柄で、そうですね――、あなたの目線くらいの高さでしょうか。
お年をめいていて、杖をついています。
すぐに、見つけられるでしょう」
瑠哀は少し瞳を大きく上げて男を見返す。
そんな瑠哀に、男はニコリと笑んだ。
「これは、今日、美しいあなたを拝見できたお礼です。
もし、他にも知りたいことがあったら、私を呼んでください。
その時は、タダではありませんが」
やはり、抜け目のない男だ。
だが、これでかなり絞られてきて、助かったのも事実だった。
男は瑠哀の手をもう一度取り、キスをした。
「それでは、失礼します。
また、お会いできるのを楽しみにしていますよ」
そう言って、男は人垣の中へと戻って行った。
「マーグリス?―――ええ、知っていますよ。
彼もこのパーティーに出席していますね」
「お会いしたのですか?」
「いいえ。辺りにいたのを見かけただけです。
彼が、どうかしましたか?」
「いいえ」
「私は、彼と何度かお会いしたことがありますよ。
よろしければ、紹介いたしますが?」
「いいえ、結構です」
はっきり、にべもなく断って、男の入る隙がない。
これ以上、この男と関わっているととくなことになりそうもなかった。
大した情報ではないが、彼がいるのは確かだと判ったから、それで良かった。
「彼は、あのバンド付近にいましたよ。
あの人のたくさん集まっている。
小柄で、そうですね――、あなたの目線くらいの高さでしょうか。
お年をめいていて、杖をついています。
すぐに、見つけられるでしょう」
瑠哀は少し瞳を大きく上げて男を見返す。
そんな瑠哀に、男はニコリと笑んだ。
「これは、今日、美しいあなたを拝見できたお礼です。
もし、他にも知りたいことがあったら、私を呼んでください。
その時は、タダではありませんが」
やはり、抜け目のない男だ。
だが、これでかなり絞られてきて、助かったのも事実だった。
男は瑠哀の手をもう一度取り、キスをした。
「それでは、失礼します。
また、お会いできるのを楽しみにしていますよ」
そう言って、男は人垣の中へと戻って行った。