瑠哀 ~フランスにて~
「…何か、飲み物でも取ってくるわ。

マーグリス氏も、どこにいるか判ったから……」


 瑠哀は朔也を一瞬心配そうに見上げ、ピエールに笑って、そこを去った。


「―――これは、どういうことかな」


 ピエールが腕を組んで、朔也を冷ややかに見据えた。


 朔也は横を向いたまま何も言わない。


「ルイが何かしたのか?」

「いや………」

「だったら、あの態度はなんだ?」

「………………」

「それとも、他の男がルイに触れるのが気に入らない、とか」


 朔也はバッと顔を上げた。


「図星か」


 ピエールは口の端を歪めるようにして、浅く笑った。
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