この空のしたで
○出会い
「じゃあ、また明日!」
その日の夕方、沙月と玲と一緒に少し寄り道をしてから別れた。
「うん。じゃあねー‼」
笑顔で手を振る玲と沙月に、大きく手を振り返す。
二人と別れ、家への道を一人で歩く。
こういうとき、どうしても考えてしまう。
藤也がいたときのことを。
やっぱり、淋しいな。独りって…
ーーー藤也。
名前を呼んでも返事が無いのは、ただ虚しいだけで。
それでも、呼び続けないと、『私』が崩れていきそうだから。