森の人
第三章 森の人
不思議な空間…。
絹で出来た繭の中のような。

不思議な感覚…。
宙に浮いているような。

だけど、森の中であることは確か。

木々がざわつくのを感じる。

森の奥で息を潜める、生き物達の存在を感じる。


優しい甘い匂いが包んでいる。


『何て心地良いんだろう』

目をつぶって、全身で感じる。


『このままここで、こうしていたいな』

心は安らぎを求めている。


『…めなさい。目覚めなさい』

夢現つに、女性の声がする。


『誰?僕を起こそうとしている人は』

寝言のように呟く。


『あなたはまだ、眠ってはなりません』

聞き覚えのある声が、意識の遠くの方で聞こえる。



「目覚めるのです」


突然、はっきりした声に変わった。
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