アイスクリームが溶けちゃうような
いっくんの意地悪。
「…て、ってゆうか、時間大丈夫?」
「……うわ!大丈夫じゃねーよ!」
ベッドから飛び降りたいっくんは、焦りながらパジャマを脱いで、スーツに着替えだした。
意地悪ばっかりするからだよ。
…って言いたかったけど、余計挑発しちゃうから今はやめます。
「紗陽」
リビングでいっくんの朝ごはんをテーブルにおいてると、不意に名前を呼ばれた。
「ん」
振り向けば、完璧に着替えたいっくんが、ネクタイをあたしに差し出した。
ネクタイ結んであげるのは結構好き。
初めの頃はワケわかんなくて、大っ嫌いだったけど。
「ねぇ、いっくん?」
「なに」
襟の後ろからネクタイをとおす。
え…と、ここは……よし。
できた。
「お仕事頑張ってね」
ネクタイを結び終えたあたしは、いっくんにニッコリ微笑んだ。