あなたの言葉 ~短編~
「薫、帰ろ。」
「あぁ。」
もうすっかり暗くなった帰り道を、二人で並んで歩いています。
返事はいつもの短い言葉で、何も変わった感じがしないけど、確かに私達の関係は変わりました。
寄り添って手をつないでいるのがその証拠です。
今までは、近いようで遠い関係でした。
でも、今日からは恋人としてつきあっていきたいと思います……。
「──また明日ね。」
「あぁ。」
「…あの…ちょっとワガママ言ってもいい?」
「あぁ。」
「あのね…明日から一緒に登校しよ?」
「あぁ。」
「じゃあ、朝迎えに行ってもいい?」
「ダメ。」
「なんで?!」
「俺が迎えに来るから。」
──チュッ…
そう言っておでこにキスしてくれたあなたは、暗くてよく見えなかったけど、真っ赤な顔で優しく微笑んでくれていました───。
「薫、大好きだよ?」
「俺は愛してる──。」
*END*