終わる世界、望んだ世界
生きる事に未練はなかった。

やり残した事があるとは思えなかったし、執着も一切なかった。

ある日突然、見知らぬ誰かに命を奪われても怒りはないと思ってたし、生き延びたいが為に足掻くような事もないと思っていた。

あるとすれば、死への苦痛に反射的にもがいてしまうという事だけ。

だから、苦痛のないあの吐血の後、俺は病院に行く事もなく、いつも通りに仕事に向かった。

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