オリジナル フィルム【TABOO】
「ここで撮るんですか? 東條監督」
「そうだよ」
監督はアンティーク品のようなカメラでフィルムを回した。
場所は平日の公園。自由に歩いて、何かを話してみて、と言われて困った顔をしてレンズを見つめ返す。
「今回の映画への意気込み、女優エリナの決意を聞かせてくれよ」
それならと、ゆっくりと歩きながら、この映画に感じた魅力を一つずつ丁寧に語る。
「あの、これどこかに出回るんですか?」
「いや、完全に俺だけのフィルム」
「そうですか」