オリジナル フィルム【TABOO】
仕事熱心だな。わざわざオフの日に、次回作に出演する女優を呼び出して映画について語らせるなんて……
「今のため息は、呆れたため息?」
「いえ、違います! 天気がいいから日に焼けるかな、と思って」
「そうだね、エリナの肌は綺麗だから木陰に入ろうか」
「はい」
カメラレンズを覗き込んだまま追い掛けてくる風変わりな監督と木陰に入る。
一見すると、私が誘い込んだみたいだ。
「確か、エリナにはデザイナーの恋人がいたよね?」
「はい、でも恋人としては終わってます」
終わっています。と言い切るには少し心許ない。周渡とは何度別れても意地でも復縁してきた。
完全に関係がなくなってしまうのは嫌だった。私の精神安定剤みたいな男だった。彼が嫉妬をしてくれるのが嬉しくてたまらなかった。
その嫉妬をしてくれなくなったのだから、終わったも同然。