オリジナル フィルム【TABOO】
「したたかさが表情に出ている。君は俺が思ったとおりの女だ。このまま、ベッドに誘えばついて来そうだな」
映画の役は、風俗街で働き男を次々と虜についてして自分の生きる意味を見いだそうとする孤独な女の役。向上心はない。ただ、誰かに必要とされることに喜びを感じる。
「役作りに必要ですか?」
「必要だな。瑠紗は、きっと付いてくる」
丸いレンズが私を試すように見つめて、レンズの下の唇はセクシーに引き上げられた。
最初からそのつもりだったことは、お見通しという顔だ。
「でも、撮らないで……」
きっと今、私はすごく欲情した顔をしている。
「君を裸にするまで撮り続けるよ」
それは、服か、心か。
オリジナルネガフィルム
THE END
2013 2 11