【短】キャンバス
彼にとって、私はどうでもいい人だった。
ただの部活仲間だった。
ううん。それ以下だったのかもしれない。
そう考えると、どんどん涙がでてくる。
「…泣いてる?」
と、丸まった背中に声をかけられる。
ゆっくりと振り返ると、肩で息をしている彼の姿があった。
珍しく動揺しているような顔をして、私を見下ろしている。
「…北結くん」
「俺のせい…だよね」
…そうだよ。君の言葉が私の頭を支配している。
君が好き。好きだから…こんなにも辛い。
君にとって…私はそれだけの存在だったんだって。
「北結くん…どうして…留学するの?今じゃなくてもいいんじゃないの?」
まだ一緒にいたかった。
背中合わせで絵を描いて…君との距離を感じていたかった。