【短】キャンバス
そんな君が格好良くて、羨ましくて…
私は君を目で追っていた…。
それだけで充分だったのかもしれない。
だけど―――
「私は…そんな君が好きだった」
言葉にできないほど。
近くにいることで伝えようとしていた、幼い想い
それだけで良かった。
ただ…それだけで…
「君は…私のこと、少しでも好きでしたか?」
彼は私の正面を向く。
「…うん、好きだったよ」
光が当たって、表情は見えなかった。
だけど、彼の口元は笑っているように見えた。