【短】キャンバス
私はふっと微笑んだ。
「仕方がありませんよ。生徒会の仕事は忙しいんですから。私たちはちゃんとやってるので心配しないでください」
「ありがとうございます」
部長は恥ずかしそうにだけど嬉しそうに頭を掻く。
その仕草がとても可愛いらしかった。
「都築さん、それ…洗いますよ」
部長が私の洗っていた道具を手にする。
冷たい水に顔をしかめた。
「部長、大丈夫です!冷たいでしょ?」
「いえ…これくらいしかできないので。まだ北結くんいるんでしょう?そっちに行ってください」
「でも…」
戸惑いながら部長を見ると、部長は笑みを見せた。
部長は私の想いを知っている。
だから、私に気を使ってくれる。
それはとても嬉しい。だけど、恥ずかしい。
それでも、部長の好意は嬉しかった。
私は頷き、彼がいる美術室に戻った。