チョコレート記念日【2023ver.】
その時だった。
「おまえ、女に手だすなんて…さすがにやりすぎだろ」
え…?
突然、聞こえてきたその声に恐る恐る目を開けると、そこには、中学生の手首をガッシリと掴んだ楓先輩の姿があった。
少し肩で息をしている姿を見ると、慌てて私と中学生の間に割って入ってくれたのだと察することができる。
私と紅葉くんを守るように、背中でかばう先輩に思わず安堵のため息がこぼれた。
「…っ!」
そして次の瞬間、先輩は掴んでいた中学生の手を思いきり振り払う。