チョコレート記念日【2023ver.】
楓先輩に怯んだ中学生は、どうやら戦意喪失したらしい。
悔しそうにしつつも、スゴスゴとその場を立ち去っていった。
…よ、よかった。
中学生の姿が見えなくなった瞬間、気が抜けた私はヘタリと地面に座り込む。
「萌花ちゃん、大丈夫…!?助けるの遅くなってゴメンな」
「…い、いえ。大丈夫です…こっちこそありがとうございます、助けて頂いて…」
心配そうな先輩の声につい、声が上ずった。
「いや、お礼を言うのはこっちだよ。紅葉のこと助けてくれたみたいだし」
楓先輩は、そう呟くと、ちらりと紅葉くんに視線を移す。