チョコレート記念日【2023ver.】
いい物と聞いて、少し反応を示した紅葉くんに対して。
「うん。パウンドケーキ作ってきたの、美味しくできてると思うから食べてみて?」
私は作ってきたチョコレートのパウンドケーキが入った包みをサッとカバンから取り出した。
しかし。
…あ、さっき尻もちついた拍子にちょっと潰れちゃってる。
「ご、ごめんね。さっきコケた時にちょっと潰れちゃったみたいだけど…」
若干、ラッピングも崩れてしまっているそれを紅葉くんは嬉しそうに受け取ってくれた。
「わぁー!萌花お姉ちゃん、ありがとう!僕、甘いの大好き…!すっごく美味しいよ」
そう言って、ニコニコといつもの可愛い笑顔でパウンドケーキを頬張っている。
「紅葉、良かったな。萌花ちゃんわざわざありがとな」
笑顔の紅葉くんを見て、楓先輩も嬉しそうだ。
…先輩に渡すなら今しかない…!
「…あ、あの楓先輩もよかったら…」
どさくさに紛れて楓先輩にもパウンドケーキを差し出す私。