極上御曹司のイジワルな溺愛

「椛、ちょっと話があるからこっちに来て」

「話?」

また小言か。

母に呼ばれ炭酸水を持ったまま渋々リビングに行くと、ソファーに倒れ込むように座る。

「午後から打ち合わせがあるから、手短にお願い」

まだ頭はズキズキ痛む。

母よ、もったいぶらずに早くしてはくれないだろうか。

両手で頭を押さえ目を閉じると、母が放った言葉に閉じた目をバチッと開いた。

「ねえ、今なんて言った?」

「だから、この家を二世帯住宅にリフォームすることにしたから」

母の突然の告白に、二日酔いの頭ではすぐに理解できない。

この家ももう古い。ところどころ傷んできてるし、リフォームはわかる。でもなんで二世帯住宅なの?

私はまだ、自分の家族を持っていない。と言うか、今は家族になる予定の人さえいない状態。それなのに、二世帯住宅にリフォーム?

それってちょっと、気が早くない?

いつか訪れるであろうその日のために、今から準備しておこうということなのか? そうなのか?



< 10 / 285 >

この作品をシェア

pagetop