極上御曹司のイジワルな溺愛
「椛、ちょっと話があるからこっちに来て」
「話?」
また小言か。
母に呼ばれ炭酸水を持ったまま渋々リビングに行くと、ソファーに倒れ込むように座る。
「午後から打ち合わせがあるから、手短にお願い」
まだ頭はズキズキ痛む。
母よ、もったいぶらずに早くしてはくれないだろうか。
両手で頭を押さえ目を閉じると、母が放った言葉に閉じた目をバチッと開いた。
「ねえ、今なんて言った?」
「だから、この家を二世帯住宅にリフォームすることにしたから」
母の突然の告白に、二日酔いの頭ではすぐに理解できない。
この家ももう古い。ところどころ傷んできてるし、リフォームはわかる。でもなんで二世帯住宅なの?
私はまだ、自分の家族を持っていない。と言うか、今は家族になる予定の人さえいない状態。それなのに、二世帯住宅にリフォーム?
それってちょっと、気が早くない?
いつか訪れるであろうその日のために、今から準備しておこうということなのか? そうなのか?