極上御曹司のイジワルな溺愛
薫さんの荷物と私の荷物を運び終え、リビングで千夜さんが淹れてくれたコーヒーを三人で飲んでいる。
「ところで兄貴、いつこっちに帰ってきたんだよ?」
「ん? 昨日。空港近くのホテルで一泊して、雅苑に寄ってからここに来た」
そう言ってコーヒーを一口飲むと、薫さんは大きく腕を上げ背筋を伸ばす。
「アメリカもいいけど、やっぱり実家はいいね。しかも椛ちゃんが暮らすことになったなんて、僕ってなんてラッキーなんだろう」
薫さんはにっこり微笑みながら、隣に座っている私に少し近づく。
「兄貴、椛に手を出すなよ」
それを見ていた蒼甫先輩が間髪入れずにそう言うと、薫さんは面白くないとでも言うように口を尖らせた。
「なあ椛ちゃんって、蒼甫の何?」
「何って、先輩で会社の上司だけど」
「だよね。彼氏でもないのに、いちいち口うるさいんだけど」
普段仲のいいふたりが、私のことでなんかもめている様子。