極上御曹司のイジワルな溺愛
「蒼甫も椛ちゃんも、ほんと面白いね。ここでの生活が楽しめそうだ」
薫さんは私の右手を握ると、愛嬌たっぷりにウインクしてみせる。
何を楽しむつもりですか、薫さん。嫌な予感しかしないんですけど。
薫さんは元々ポジティブで、なんでも良い方に考え何事も楽しむ性格がいいところ。それは仕事をしているときからわかってはいたけれど。
私生活まで一緒じゃ、ちょっと疲れそう……。
男ふたりと女ひとりがひとつ屋根の下で暮らすことになるなんて、想像もしたことがないから、どうなってしまうのかかなり不安だ。
「じゃあ私はそろそろ、部屋に戻ります。持ってきたものの整理もしないといけないし」
こんなところに長居は無用と立ち上がり、リビングを出ていこうとした私に蒼甫先輩が呼びかける。
「椛、片付けが済んだら俺に声かけて。夕食の準備するからさ」
「夕食の準備って、私もですか?」
「当たり前だろ。働かざるもの食うべからずだ」
「そんなぁ……」
明日からはまた普通に仕事、今晩はのんびり過ごそうと思っていたのに。