極上御曹司のイジワルな溺愛
まあでもリフォームしてこの家が綺麗になるのなら、それはそれで何の問題もない。
私ももうすぐ三十歳。心機一転頑張るために、ありがたくリフォームしてもらおうじゃないの。
姿勢を正し母に向き直ると、にっこり笑ってみせる。
「でリフォームはいつから? 私の部屋は二階のままかな?」
ワクワクしながらそう尋ねると、母から意外な言葉が返ってきた。
「何言ってるの。椛の部屋はないよ。二階は菫の家族が入るからね」
はあ!? それってどういうこと?
「なんで菫の家族が、ここに住むわけ?」
意味わかんない!
菫は、私の三つ違いの妹。私を若くして伯母にした張本人。
最近良く遊びに来てるなとは思っていたけれど、母とリフォームの計画を進めていたとは……。
菫のヤツ、侮れない。
でも母も母だ。私だって家族なのに、そんな大事なことを何の相談もせずなんで勝手に決めちゃうわけ?
「私は……私はどうしたらいいのよ」
「椛、あなた今年で三十歳よ。いつまで親と暮らすつもり? もう一人前の大人でちゃんと稼ぎもあるんだから、今すぐひとり暮らしを始めなさい」
住むところが決まるまでは叔父が所有するウィークリーマンションを借りてあげるから、すぐにでも出ていくように──
そう言って母は何事もなかったように洗濯干しに戻ってしまい、私ひとり大混乱。