極上御曹司のイジワルな溺愛

でもだったら、これから素敵な恋愛をしたらいいんじゃない?

今からだって遅くない。本気で、本当の恋に落ちてみたい!

誰と? それは──

「なあ椛。いつまでそこで、一人芝居してるつもりだ?」

蒼甫先輩にそう言われて、自分が締りのない顔をしていることに気づく。

今まで妄想グセなんてなかったのに……。

顔を元に戻しわざとらしく咳をひとつすると、蒼甫先輩の部屋へと一歩足を踏み入れた。

そこは雑誌で特集されているような、凄まじいほどお洒落な部屋。暖色をベースにした配色で整えられたインテリアは、シンプルだけど柔らかな印象を与えている。

蒼甫先輩の印象だと、モノトーンで統一されてるかと思っていたけど。

ちょっと意外──

緊張せず寛げる空間に、蒼甫先輩のセンスの良さが窺える。

「人の部屋、ジロジロ見すぎ。何か気になることでも?」

自分の部屋だからか、蒼甫先輩はいつもと少し違ってリラックスした感じで。荷物を運ぶ時のジーンズ姿も良かったけれど、ボーダー柄の部屋着もどこかのブランドなのか清潔感があって好印象だ。

……って私ったら、さっきから蒼甫先輩のことを褒めすぎ。



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