極上御曹司のイジワルな溺愛
「朝ご飯。もう根本的に向いてない、私には料理のセンスがまったくないのよ。でもあそこで暮らしてる以上、何もしないわけにもいかないし」
頭を抱え、デスクに突っ伏す。
「でも、顔色は良さそうだわね」
その言葉にすばやく顔を上げると、麻奈美の顔を睨みつけた。
「何が言いたいのよ?」
「そのまんまの意味。健康状態は良さそうだし、副社長との関係も良好そう。ね?」
何が「ね?」だ。人の気も知らないで……。
確かに麻奈美の言うとおり、職場と家での態度の違いに戸惑いながらも、それなりに蒼甫先輩との関係性を楽しんでいるのは事実。
一緒に過ごす時間が増え会話も増えると、今まで知らなかった先輩のあれこれを知れて、思わぬ発見ごとも多い。
家事を教え込まれるときはカチンと来ることもあるけれど、すぐに収まってしまうのは惚れた弱み。
蒼甫先輩の気持ちはわからないままだけど、私の一方通行の恋はどんどん大きくなっている。