極上御曹司のイジワルな溺愛

「イッたぁ……」

叩くことないじゃない! と、文句言いたげに睨んでみる。

「マスター。椛はすぐ調子に乗るから、いい加減なことは言わないほうがいい」

でも蒼甫先輩は、私の睨みをスルー。

「なんですか、それ? 人を馬鹿みたいに言わないでください」

調子に乗る? 誰が? いつ? どこで?

言いたいことはいっぱいあるが、それをグッと堪える。

「そうだぞ、蒼甫。俺はいい加減なことなんて、一言も言ってない。本心を言ったまでだ」

マスター、ナイスフォロー!

しかも“本心”を言っただなんて、なんて良い人なんだろう。

それに比べて、この先輩は……。

どうだと言わんばかりに蒼甫先輩の方を見て胸を張ってみせると、「本気にするな」と窘められてしまった。

「変なこと考えてないで、さっさと食え」

「へ、変なことって、何なんですか?」

心の中を見透かされているようで、まったくもって面白くない。

それでも食欲には勝てなくてジャンバラヤを口いっぱいに詰め込みながら、蒼甫先輩に何やら話しかけるマスターの声に耳を傾けた。



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