極上御曹司のイジワルな溺愛
「そんなに急がなくてもいいのに。でも、そろそろ帰るか? 明日、仕事入ってるだろ?」
直近の挙式披露宴の予定やMC担当は全部、蒼甫先輩の頭の中に入っている。
そんな、人一倍努力家の先輩だからこそ、好きになったのかもしれない。
それに比べて私ときたら……。
ダメダメな自分に溜息をつき、席を立った蒼甫先輩の後に続く。
「マスター、ご馳走さま。代金、ここに置いとく」
店の奥にいるお客さんと離していたマスターに声をかけると、蒼甫先輩は軽く手を上げる。
「おう蒼甫、また来いよ。椛さんも」
「はい、ありがとうございます」
ペコリとお辞儀をし、蒼甫先輩と一緒に店を出た。