極上御曹司のイジワルな溺愛
「……好き、です」
自分でも驚くくらい小さな声に、恥ずかしさで顔を上げられない。
「声ちっさ。なんだよ、いつもの元気はどうした?」
蒼甫先輩はそう言って楽しそうだけど、こっちはいろんな事がありすぎて元気どころじゃないんです!
それぐらい察してよと思うのに、蒼甫先輩は満足げに笑いながら歩いているから、怒るに怒れないというか……。
「もう、わかった。わかりました。好きです。蒼甫先輩のことが大好きです!」
言ってしまった──
でもなんだか、心の中はスッキリ。
まさか今日、蒼甫先輩と気持ちが通じ合うなんて考えもしてなかったから、かなりおかしな反応をしてしまったけれど。こんなにも心躍ることは初めてで。
嬉しいのに、泣きたくないのに、涙が溢れてきた。
「あ、あれ? なんでかなぁ……」
繋がれていない方の手で、顔を隠すようにその涙を拭う。
「なに、どうした?」
変化に気づいた蒼甫先輩が足を止めて振り向くと、大きな手が頬に触れて、そのまま私の顔を上げた。