極上御曹司のイジワルな溺愛

呆れた──

これが、大の大人がする態度?

ヤキモチなのか何だか知らないけれど、三十にもなった大人がすることじゃないし、拗ねたように唇を尖らせるのは子供としか言いようがない。

「そうですか、わかりました」

残っていたサラダを一口で食べ、「ごちそうさま」と席を立つ。食べ終わった皿やカップをシンクへ置くと、勢いよく水を出した。

昨日蒼甫先輩に告白され、私も好きだと伝えた。気持ちが通じ合ったばかりなのに、翌日の朝からこんな気持ちになるなんて……。

蒼甫先輩のバカ──

蛇口からザーザーと水が流れているのも気にせず、シンクの縁に手を付き目を閉じると下を向く。

なんだかなぁ……。

三年前の私ならサラッと流せたことでも、蒼甫先輩相手だとうまくいかない。先輩のことが本当に好きだからこそ、もっと信用してほしい。

欲張りなこと、言ってるわけじゃないんだけどなぁ……。

漏らしたくもない溜息が、勝手に口から出てしまう。



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