極上御曹司のイジワルな溺愛

蒼甫先輩を見れば彼も面白くないような顔をしていて、私と目が合うと諦めたように苦笑した。

「兄貴こそ、どこで何してた?」

私には兄貴も子供じゃないんだからと言っていたくせに、やっぱり心配していたんだと可笑しくなる。

「あ~、マンガ喫茶。初めて入ったけど、なんでもあって楽しいところだね。今晩も行っちゃおうかなぁ~」

薫さんも負けていない。

蒼甫先輩からの質問をさらりと躱すと、いつもと変わらない態度で微笑んだ。

「ねえ、そんなことより。僕の質問に答えてくれない。ふたりはそこで、何をしてたの?」

薫さんはキッチンまでやってきて、壁にもたれかかり腕を組む。

向かい合って立つ蒼甫先輩と薫さんの目線ぶつかり、バチバチと火花が音を立てた……ような気がした。

怖いんですけど……。

恐怖心から後ずさりしようとした私の腕を蒼甫先輩が掴み、グッと引き寄せ抱き寄せる。

「椛と付き合うことになったから。もう気安く、ちょっかい出すなよ」

「ちょっかいって……」

もう少し違う言い方ってものがあると思うんですけど。

でも力強く交際を宣言されて嬉しいやら、照れくさいやら。顔の火照りを隠すように俯き、手うちわでパタパタ扇ぐ。



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