極上御曹司のイジワルな溺愛
これって今、必要な話?
時計を見れば、二十二時を回っている。
蒼甫先輩の袖をクイクイと引っ張り目線でそのことを伝えると、彼も気づきわかっとばかりに頷いた。
「さあ兄貴、冗談はそのくらいにして。ここからは真面目な話」
雅苑の副社長らしい顔をした蒼甫先輩が咳払いをすると、薫さんも表情を引き締めた。
「明日にはそっちにも連絡がいくと思うが、今度の水曜日に緊急会議を開くことになった」
「緊急会議?」
薫さんが怪訝な顔を見せる。
「親父や常務たちも参加の会議だからな。兄貴も必ず出席しろよ」
「そうか、わかった」
一瞬疑ったような顔を見せたものの、上役も出席と聞くと納得したような顔をする。
なんとか、うまくいったみたい。あとで里桜さんにメールしておこう。
今朝はゆっくりだったけれど昨日が遅かったせいか、それとも誰かさんのせいでグッスリと眠れなかったせいか、かなり眠い。
みっともないとわかっていても、「ふわぁ~」と大きな欠伸が出てしまう。