極上御曹司のイジワルな溺愛
「眠そうだな。早く風呂入って寝ろ」
その申し入れは嬉しいけれど、居候の身で先に入るわけにはいかないでしょ。
「いえ。薫さんか蒼甫先輩が、先に入ってください」
「あ~、僕はまだやることがあるから最後でいいよ。それとも椛ちゃん、一緒に入る?」
「入りません!」
薫さんの冗談にムキなっていると、蒼甫先輩が私の腕を掴んだ。
「じゃあ俺と入るか?」
じょ、冗談じゃない! どこをどうしたら、そういう発想が出るわけ?
「も、もう! どちらとも入りません! じゃあ、お先に失礼します!」
似たもの兄弟。この兄にして、この弟。こんな時だけ気が合うんだから、こっちはたまったものじゃない。
ふたりの笑い声を背に受けながらリビングを飛び出し、二階の部屋へと急ぐ。そして着替えとバスタオルを抱えると、足早にバスルームへと向かった。