極上御曹司のイジワルな溺愛
薫さんとは四日前のあの日以降、私も会っていない。
「しばらくホテルで暮らす」と出ていくと、蒼甫先輩でも連絡が取れなくなったらしい。だから今日の会議にも出席するかどうか、かなり心配をしていたけれど。
取り越し苦労だったみたい。
チラッと見た薫さんはピシッと決まっていて、元気そうだった。
ふと視線をそらすと、部屋の時計は十三時を回っている。
「そろそろですかね」
私がそう漏らしたと同時に、待っている部屋のドアがコンコンと音を立てた。
「お待たせいたしました。準備が整いましたので……」
今日の会議の会場になっているのは、自然派レストランの個室。経営陣が若くなったこともあって、最近は食事をしながらの会議が増えていた。
まあ蒼甫先輩の個人的趣味──なんて噂も、聞こえたり聞こえなかったり。
私と里桜さんも会議中の人たちと同じものをお呼ばれしたから、文句は言えないけれど。
店員に案内された部屋の前に到着すると、緊張感に包まれる。
「里桜さん、心の準備はいいですか?」
そう里桜さんに耳打ちし確認をする。すると彼女は、意を決したように大きく頷いた。