極上御曹司のイジワルな溺愛

愛してるの気持ちは、呼び方や言葉遣いじゃない。

ねえ、そうじゃない?

でもそんな安っぽい言葉じゃ、蒼甫先輩は納得してくれないような気もするし……。

おいおい頑張ります──も嘘くさい。

あぁ~困った!

目の前には美味しそうな料理が『早く食べて』と待っているというのに、答えるまでは待て状態で、お腹も悲鳴を上げている。

もうこうなったら、ヤケクソで言ってやる!

目を固く瞑り、大きく息を吸う。それをゆっくり吐き出すと、閉じていた唇を緩ませた。

「ねえ、そ、そ、そうすけ?」

それは何か音がしていたら聞こえないほどの小さな声で、自分で自分に驚く。そして次の瞬間、一気に恥ずかしさが襲ってきて両手で顔を覆い隠した。

「もう勘弁してください」

なんて、もう敬語に戻ってるし、所詮私には無理なことだったのよ。

そうは思っても、蒼甫先輩の反応は気になるところで。

怒ってないといいけれど……。

顔を覆い隠している手の指の隙間から、蒼甫先輩を窺う。

ん? 怒ってない?

もう少しハッキリと顔を見たいと指の隙間を広げ、再度確認してみた。

右手で口元を押さえた蒼甫先輩の顔は、ほんの少しだけ赤くなっている?

「自分で言わせておいて、こんなに刺激が強いとは思ってなかった……」

顔からゆっくり手を離し、呆然とそう呟く蒼甫先輩を見つめる。



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