極上御曹司のイジワルな溺愛
「……椛……」
蒼甫先輩は諭すように私の名前を呼び、顔を近づけると優しくキスをする。
唇から首筋へと移動する先輩の熱と吐息に、体が痺れて力が抜ける。と、手で押さえていたバスタオルが、はらりと床に落ちた。
万事休す──
一糸纏わず姿に恥じらいながらも、蒼甫先輩に身を任すことに決めた。
直接肌が触れ合い、鼓動の速まりは収まらない。
体を拭かれ客間に敷かれた布団に運ばれるまで俯いていた私は、そこで初めて蒼甫先輩の逞しい全身を目にする。
あ。初めてじゃないか──
矢嶌家で暮らすことを決めた日、バスルームで蒼甫先輩の全裸姿を見てしまった。
でもその時と今とでは、ふたりの関係も状況も違う。
目の前に輝くバランスの取れた筋肉質の体は、しなやかさも持ち合わせていて。
「美しい……」
と思わず零してしまう。
「何言ってるんだ。美しいのは椛の方だろう」
そう言いながら蒼甫先輩は、私の額にかかる髪を優しく掻き上げた。
さっきまで襲われていた羞恥心は消えていて、甘えるようにその手に頬を寄せる。
「椛の全部を俺に見せて。今夜は寝かせるつもりないから、覚悟しとけよ」
私の上に馬乗りになった蒼甫先輩が体を倒し、耳元で囁く声はいつにもまして妖艶で。目線が交わると、小さく頷きゆっくりと目を閉じた。