極上御曹司のイジワルな溺愛
* * *
朝食の会場になっている新館の大広間に行くと、蒼甫先輩と向かい合って座る。
「ふわぁあああ」
両手で口元を隠し、さっきから止まらない大欠伸をすると、蒼甫先輩がクスクスと笑う。
「眠れなかったのか?」
先輩のわざとらしいセリフに、大きく頬を膨らませた。
眠れなかったのか?
まるで自分は関係ないかのように、よくものうのうとそんなセリフが言えたもんだ。
眠れなかったんじゃない。
正確に言えば、寝かせてもらえなかった──と言うべきだろう。
数時間前まで愛されていた私の体にはまだ、蒼甫先輩の温かな肌の感触が残っている。
先輩の愛撫は優しく、それでいてときに激しく。
長くて綺麗な指が、滑らかな舌が、私の体中を翻弄して。全身のあちらこちらに、俺のものだと言わんばかりに赤い印を残していった。
思い出すだけで体が熱くなって、ところどころ疼く。
こんなこと初めてだ──
ちろりと目線を上げると、何度も体中にキスを落とした唇が目に入る。その口は数々の甘い言葉を囁いて、私の脳と体を快楽の世界へと連れていった。
上から目線の傲慢な言葉ばかり言われるかと思っていたけど、王子様のような甘くて素敵な言葉も言えるんだ……。
ギャップに驚きもしたけれど、初めて見る蒼甫先輩にドキドキは止まることがなかった。