極上御曹司のイジワルな溺愛

とにかくどれもこれも上手くいかなくて、「うぅ……」と唸り頭を抱えるばかり。まだ一週間しか経っていないのにこれじゃあ、先が思いやられるというものだ。

来月には三十歳でしょ? もう少しちゃんと生きようよ、私。

自分で自分に叱咤激励しながら、ゴミ屋敷もどきの状態になっている散らかったゴミを拾う。それを燃えるゴミの袋に入れていると、突然めまいに襲われた。

慌てて床にしゃがみ込み、テーブルに突っ伏す。

一昔前の結婚式と言えばジューンブライドと呼ばれる六月が主流だったが、今は比較的天候と気温が穏やかな十月十一月に行われることが多い。

そんなときにひとり暮らしを始めることになったのが祟ったのか、どうも疲れが溜まってるみたいだ。

幸いめまいもすぐに収まり立ち上がると、冷蔵庫を開く。

中には昨日コンビニで買ったプラスチックカップのカフェオレが、ポツンとひとつあるだけ。

「何も食べないよりはマシか」

カフェオレとゴミ袋を左手でカバンを右手で掴むと、そのまま玄関を飛び出した。



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