極上御曹司のイジワルな溺愛
一度繰り広げられてしまった昨晩の再現は収まることはなく、それどころか仕事に向かう前、蒼甫先輩に言われた『今晩もたくさん愛してやる』も思い出してしまい、バタリとテーブルに突っ伏した。
穴があったら入りたい──とは、こういうときに使うのだろう。
生憎ここには、隠れる場所なんかどこにもなくて。顔を横に向けると、里桜さんに助けを求める。
でも彼女の口から発せられたのは。
「何も恥ずかしがることないじゃない。好きな人とコミニュケーションを図ることは、大切なことよ」
と蒼甫先輩を肯定するような言葉で。
「さすがは里桜さん、いいこと言うじゃないか。椛、そういうことだ。飯食ったら、急いで帰るぞ」
仲間を得た蒼甫先輩からドヤ顔でそう言われ、またもや顔を赤らめる結果となってしまった。
助けを求める人を、どうも間違えたみたい……。
真ん前では薫さんが私たちの話そっちのけで、テーブルの上にある豪華な中華料理に舌鼓を打っている。
どうやら今の私には、援護してくれる味方はいないらしい。
仕方なく箸を持ち手を伸ばすと、大きなエビチリを口いっぱい頬張った。